2018年7月4日水曜日

Arduino実習3 - MOSFETを用いたスイッチング回路

概要

Arduinoなどのマイクロコントローラからの出力では直接駆動できない素子のスイッチングを行うためには,別途電源を用意して,そのOn/OffをArduinoからの信号で制御します.ここでは,広く用いられているパワーMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)を利用する方法について解説します.

MOSFET

MOSFETとは,電界効果トランジスタの一種です.ゲート(G),ドレイン(D),ソース(S)という3端子を持ち,ゲートに加える電圧でドレイン-ソース間の電流を制御します.スイッチングが高速で,オン抵抗が低い(MOSFET自身による電圧降下が少ない,発熱量が少ない)という優れた特性を有しています.

MOSFETにはnチャネル品とpチャネル品があり,ドレイン-ソース間の電流の向きが逆になります.nチャネル品では,ドレインからソースに向かって電流が流れます.このときはソース電極に電流が吸い込まれるためシンク(sink)駆動と呼ばれます.pチャネル品では,ソースからドレインに向かって電流が流れます.

スイッチングに使用する際に重要な特性は,まずはゲート閾値電圧です.ゲート-ソース間の電圧がゲート閾値電圧以上になった場合にドレイン-ソース間に電流が流れます.このときドレイン-ソース間の抵抗(オン抵抗)が低いことが望ましいため,この値も確認します.

また正常に動作する限界を確認しておくことも必要です.ドレイン-ソース間に印加できる最大の電圧は,ドレイン-ソース間の降伏電圧を確認します.一般的には実際に使用する際に印加される電圧の,3から5倍の耐圧を持つものを使用するのがよいとされています.ドレイン-ソース間に流すことのできる最大の電流は,ドレイン電流を確認します.

ソレノイド

ソレノイドとは可動鉄芯を有するコイルで,通電により鉄芯を押し出しないしは引っ込めることができます.実習ではソレノイドのOn/Offをマイクロコントローラから制御します.

動作確認

ソレノイドの動作を確認します.実習に使用するソレノイドは5V用ですが,本実習で印加する電圧は3V(単3乾電池2本)としています.これでも動作します.

まずソレノイドの端子に直接電圧を加えて,鉄芯が動作することを確認してください.このとき長時間通電すると盛大に発熱しますので電流を流す時間はほどほどにしましょう.コイルですので極性はありません.電流の向きを反対にしても同じように動作することも確認しましょう.

実習

部品リスト

Arduino Uno R3(互換品)
ソレノイド
nチャネルMOSFET 2SK703
抵抗 100, 10k
ダイオード
電池ケース・電池
ブレッドボード
USBケーブル
ワイヤ適宜

回路図


回路図のQ1はMOSFETです.MOSFETとして2SK703を使用します.形状は下図の左側です.
足は型番が見える向きにして,左からGDSです.回路図での並び順は下図の右の通りDGSなので,並びが異なるので注意.


R1はMOSFETの動作を安定化させる効果があります.

回路全体の電源がOnになった際に,Arduinoからの出力が無い(OnでもOffでもない状態.ハイインピーダンスと呼ぶ)と,MOSFETが不安定になります.R2はゲートの電圧を0VにしてMOSFETがOnでもOffでもない状態になることを防ぎます.ほとんど電流は流れないため,大きな抵抗でよいです.ここでは10kを使います.

V1はソレノイド用の電源で,ここでは乾電池2本を使用します.

ソレノイドと並列に入っているダイオードは,ソレノイドへの通電がオフになった場合に逆起電力が流れて回路を破壊することを防ぎます.なるべくソレノイドの近くに取り付けます.ダイオードには極性があります.

ソレノイドをブレッドボードに接続するときは,さしあたり適当なワイヤをソレノイドのコネクタに突っ込んでください.

ソースコード

int switchPin = 8;

void setup() {
  pinMode(switchPin, OUTPUT);
}

void loop() {
  digitalWrite(switchPin, HIGH);
  delay(500); // wait for 500ms
  digitalWrite(switchPin, LOW);
  delay(1000); // wait for 1000ms
}

結果

ソレノイドがカチカチするはずです.

応用

直流で駆動し,高い電圧・大きな電流が必要な素子全般に使用できます.例えば空気圧制御するための電磁弁など.

続き→ http://masa-memo.blogspot.com/2018/07/arduino4-dc.html

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